イギリス文学
ウィリアム・シェイクスピア William Shakespeare
『ハムレット』

- 作者:ウィリアム シェイクスピア
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1967/09/27
- メディア: 文庫
『ハムレット』はシェイクスピア四大悲劇のひとつで、いわゆる復讐劇である。デンマーク前王である父親をその弟(ハムレットからすると叔父)に殺され、それを父の亡霊から知らされたハムレットが狂気を装いじわじわと復讐を果たしていく。
台詞ありき
しかし、特にハムレットから何かを仕掛けるというわけではなく、むしろクローディアス(現王)のほうから、父親を殺され気が狂った(ように見せかけている)ハムレットをデンマーク国外へ追放して殺害してしまおうとしたりと盛んに仕掛ける。
ハムレットはただひたすら狂人になりきり、クローディアスやガートルード(王妃、ハムレットの母)に支離滅裂風の皮肉な言葉をぶつけるだけ、どちらかというと受け身で復讐の具体的な策など無いように見える。さっさとやっちまえよハムレット。と思わなくもないが、勿論それではあっさり話は終わりで、そうならないためにあれやこれやとエピソードが連なる。
そのエピソードひとつひとつもそれなりに興味を惹かれるのだが、しかしそれらよりも、クローディアスやガートルードに向けた皮肉のこもった言葉や他の登場人物たちとの会話、ハムレット自身の独白の台詞それ自体が面白いし重要で、『ハムレット』を、というかそもそも戯曲を楽しむ肝はそこにあるような気もしている。
シェイクスピアはそれらの台詞を書きたいがために、ハムレットを狂人に、道化にさせたのではないかと思わなくもない。
メタ創造あるいはメタ妄想的ハムレット
さて、『ハムレット』はシェイクスピアの創造であるが、この話、そもそも実は全てハムレット自身の妄想だったりするんじゃないか、なんて妄想してみたり。つまりハムレットは父を亡くした時点で本当に狂人になってしまい、彼が聞いた父の亡霊からの言葉はそもそもハムレット自身の脳内に生み出されたもので、本当はクローディアスは兄を殺してはおらず、、云々。ハムレットが創造した物語をシェイクスピアが創造したという。
なんて、全く根拠はないけども(亡霊は他にも従者たちも見ているし)。笑。
しかし『ハムレット』を、そんなメタ妄想的物語という読み方をしても誰にも文句は言われまい。言われるかな。。いや大丈夫、本の読み方は自由である(と自分に言い聞かせる)。
ということで
金言も盛りだくさんであり、オフィーリアの死の謎やポローニアス(実は好きなキャラ)のくだらないギャグなど読みどころ満載の『ハムレット』。各々好きなように楽しむべし。
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