ささやかな胡桃パン-海外文学と遊ぶ

主に『海外文学』と『読むこと書くこと』あれこれエッセイ

児童文学を読む大人は素敵だね/『飛ぶ教室』エーリッヒ・ケストナー

ドイツ文学

エーリッヒ・ケストナー Erich Kastner
飛ぶ教室』(1933)

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)

「なんでそんなにうれしいんだい?」と、駅員がたずねた。
「だってクリスマスだから」と、少年は答えた。

飛ぶ教室』の、とあるシンプルな会話だが、ここにはこの少年(マルティン)の様々な感情が隠れている。非常にグッとくる場面である。とにかく子供も大人も一様に世界に翻弄されながらも必死に生きているのだ。

また、「クリスマスは優しい気持ちになるための日だね」とN.Mも言っているが、世界の理不尽さに翻弄され悲しむ子供を救えるのは、正義さんや禁煙さんのような優しく子供心を忘れていない大人である。

できるならそういう大人でありたい。

児童文学というのはむしろ大人が読むべきであって、それはつまり、登場する子供たちがそれを読む僕たち大人(大人だと思っている人間)を逆に救ってくれるのだということである。

○○○

なんだね?…別に大人がクリスマスにワクワクしたっていいではないか。