イタリア文学
ルイジ・ピランデッロ Luigi Pirandello
『月を見つけたチャウラ』(1902〜36)

月を見つけたチャウラ?ピランデッロ短篇集? (光文社古典新訳文庫)
- 作者: ピランデッロ
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2013/12/20
- メディア: Kindle版
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シチリア出身ノーベル賞作家ルイジ・ピランデッロ(ピランデルロ)の短編集。劇作家として名は知られているが(知らなかったけど)、短編小説もたくさん書いている。
それぞれの短編に共通して描かれているのは、現実と虚構(見えているものが本当なのかどうかみたいな事)の狭間で揺らぐアイデンティティ、そしてふとした瞬間に垣間見える人間の真実。その真実を独特のユーモアで描いていて思わず笑ってしまいそうになるが、しかし笑うことができない。自分自身も彼らと同様に、どうしようもなく滑稽な人間なのだということに気づかされてしまうからだ。
冷たく突き放されゾッとする作品もあるが、基本的には冷めた目で見ながらもどことなく温もりを感じる作品が多い。ピランデッロは多分、人間にほとほと嫌気がさしていながらも心から人間を愛していたのではないかと思う。
どんな境遇に置かれたとしても、きっと笑うことはできると信じたい。たとえ夢の中だとしても。

- 作者: ルイージピランデッロ,米川良夫
- 出版社/メーカー: 福武書店
- 発売日: 1987/11
- メディア: 文庫
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長編はこれだけみたい。買った。