ささやかな胡桃パン-海外文学と遊ぶ

主に『海外文学』と『読むこと書くこと』あれこれエッセイ

『月を見つけたチャウラ』ルイジ・ピランデッロ

イタリア文学

ルイジ・ピランデッロ Luigi Pirandello
『月を見つけたチャウラ』(1902〜36)

シチリア出身ノーベル賞作家ルイジ・ピランデッロ(ピランデルロ)の短編集。劇作家として名は知られているが(知らなかったけど)、短編小説もたくさん書いている。

それぞれの短編に共通して描かれているのは、現実と虚構(見えているものが本当なのかどうかみたいな事)の狭間で揺らぐアイデンティティ、そしてふとした瞬間に垣間見える人間の真実。その真実を独特のユーモアで描いていて思わず笑ってしまいそうになるが、しかし笑うことができない。自分自身も彼らと同様に、どうしようもなく滑稽な人間なのだということに気づかされてしまうからだ。

冷たく突き放されゾッとする作品もあるが、基本的には冷めた目で見ながらもどことなく温もりを感じる作品が多い。ピランデッロは多分、人間にほとほと嫌気がさしていながらも心から人間を愛していたのではないかと思う。

どんな境遇に置かれたとしても、きっと笑うことはできると信じたい。たとえ夢の中だとしても。

生きていたパスカル (福武文庫―海外文学シリーズ)

生きていたパスカル (福武文庫―海外文学シリーズ)

長編はこれだけみたい。買った。