-ささやかな胡桃パン-

『海外文学』と日々のたわいもないノート

無頓着で怠惰な気怠い青春『ある青春』パトリック・モディアノ

フランス文学 パトリック・モディアノ Patrick Modiano 『ある青春』 (画:ささくるP) モディアノ中毒という言葉がフランスにはあるらしい。国民的な作家だということだろう。いや、2014年にはノーベル文学賞も受賞しているし、世界的作家でいいよね。まあ、…

シャルロッテ・サロモンによって彩られた僕の記憶すなわち人生『シャルロッテ』ダヴィド・フェンキノス

(画:ささやかな胡桃パンの人) 最近は文章よりも絵を描くのが楽しくて、毎日何かしら描いている。別に絵画とかに詳しいわけではないんだけど、好きな画家とかはいたりもする。クレーとかミロとか。エゴン・シーレとか萬鉄五郎とか。ただの感覚的好み。何でっ…

文学という真剣な遊び『地下鉄のザジ』レーモン・クノー

(画:ささやかな胡桃パンの人) 原文で読んでみたいね、やっぱり。クノーを読んだのは初めてだったんだけど、この『地下鉄のザジ』はハチャメチャ喜劇でめちゃくちゃ面白かった。ほんと単純に。でも読みどころはそこ(だけ)ではなくて、それをもっと楽しむため…

文学的ヒューマンサスペンス『ダマセーノ・モンテイロの失われた首』アントニオ・タブッキ

(相変わらず適当な絵) 実際にあった事件をモチーフにしたタブッキの『ダマセーノ・モンテイロの失われた首』(1997)。ダマセーノ・モンテイロ通りってのが昔タブッキが住んでいたところにある(あった?)らしい。 人道主義・博愛主義をヒューマニズムっていう…

ちょっと変でやっぱ散文

気分屋というのもあって、なかなか自分の文体というのが定まらない。自分のブログを読み返してみるとよくわかる。 最近は「〜である」とか「〜だ」をなるべく使わないようにしていて、結構気に入っている。でもこれもまたそのうち飽きるんだろう。ずぅっと同…

芸術家たちとの夢遊『夢のなかの夢』アントニオ・タブッキ

普段あんまり夢って見ない。きっと忘れてるだけなんだろうけど。妻は朝起きるたびに、見た夢の話をする。僕はそれにぼんやり耳を傾け妻の心を聞く。 夢っていうのはいつも支離滅裂で断片的だけど、そこに何かしらの真実が隠されているような気がする。だから…

行ってみたいねアソーレス『島とクジラと女をめぐる断片』アントニオ・タブッキ

ポルトガルより遥か西。 (注:左上はリスボンにあるペソアの像だよ) まさにタイトルそのままの、「島とクジラと女をめぐる断片」の重なり。原題そのままだと「ピム港の女」らしいけど、訳者の須賀敦子さんがこんな想いで『島とクジラと女をめぐる断片』とした…

不安定な世界を死者と漂うミステリのふりをした後悔/『イザベルに ある曼荼羅』アントニオ・タブッキ

おおいぬ座の最輝星シリウスからやってきたという男が、ある女性を探し求めて彼女と関わった人たちの記憶を頼りに、ポルトガルからマカオ、スイスアルプスへと世界各地をふわり漂う。 イザベルに: ある曼荼羅作者:アントニオ タブッキ発売日: 2015/03/25メデ…

生きづらさや閉塞感を感じているとき必要なのは文学である/『よそ者たちの愛』テレツィア・モーラ

ドイツ文学 テレツィア・モーラ Terézia Mora 『よそ者たちの愛』 みな苦しみもがいている。 よそ者たちの愛 (エクス・リブリス)作者:テレツィア・モーラ発売日: 2020/03/25メディア: 単行本 テレツィア・モーラ Terézia Mora おまけ 過去への執着、郷愁、理…

自分ではない誰かへ書くということを考えたけれども結局ただ続けるしかないのかと思いでもまた…

なにか小説を読みたいなと思って、まあ「売れてるってことは面白いってこと」だろうと、とりあえずベストセラー小説なんぞ買って読んでみるが、ふと気付けば部屋の片隅でホコリをかぶってしまって寂しそうに…。あるよね。 小説を読みたいけど、なかなか読み…

ダメ人間たちに映し出されるアメリカの苦悩/『十二月の十日』ジョージ・ソーンダーズ

アメリカ文学 ジョージ・ソーンダーズ 『十二月の十日』 十二月の十日作者:ジョージ・ソーンダーズ発売日: 2019/12/11メディア: 単行本 この短編集の登場人物たちが「ダメ人間」であるというのならば、紛れもない、僕も間違いなく「ダメ人間」である。だから…

『くるみパンの本棚』はじめました

二足三文で売るくらいなら… どんな本屋か 二足三文で売るくらいなら… 今まで僕は読み終えた本を、中古本屋さんに毎回「こんなに安いのか…」とぶつぶつ愚痴をこぼしながらも、売ってしまっていた。 まあ、その微々たるお金を、また本を買う資金として活用して…

美しくて哀しくて愛くるしいおじさんのお話/『ひとさらい』ジュール・シュペルヴィエル

フランス文学 ジュール・シュペルヴィエル 『ひとさらい』 ひとさらい (光文社古典新訳文庫)作者:ジュール シュペルヴィエル発売日: 2013/11/08メディア: 文庫 見え見えな僕らの欲望 キモい僕らの欲望 シンパシーと擁護 ひとつ屋根の下、自分の隣の部屋には…

となりの移民/『西への出口』モーシン・ハミッド

西への出口 (新潮クレスト・ブックス)作者:ハミッド,モーシン発売日: 2019/12/24メディア: 単行本 イスラム教を知る 移民は近くに 穏やかに 書き出しがこんな感じ。 難民で膨れ上がってはいるが、おおむね平穏な、少なくともあからさまに戦争にはなっていな…

DJと書評ブログの類似と偽善

エゴイズム 偽善に抗う 好きに従順に このご時世、やはり僕らの心の救いは小説と音楽である。…てまあそこは人それぞれだが、独りでも楽しめる何かがあるというのは思いの外、生を支えてくれる。 エゴイズム しかし、この世界で本当に独りぼっちになってしま…

怒りという自由『フィンケルスティーン5』in『フライデー・ブラック』ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー

アメリカ文学 ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー 『フライデー・ブラック』(2018) なくならない人種差別 自分の中の差別心 彼らの叫びを聞け 『くるみパンの本棚』 僕は、ブラックミュージックが好きだ。あの、気持ちいいほどの感情の爆発と力強く腰にくる…

「風呂読のススメ」お風呂で読書するという至福の時間に起こる悲劇の回避

あぁまたやってしまった…。角が濡れてしまった文庫本を見つめ僕は嘆く。 のぼせ 風呂ぽちゃ 風呂読は至福 読書好きな人は誰でも、お気に入りの「本を読む場所」があるのではないかと思うが、僕の場合それは「お風呂」である。今に始まったことではなく、間断…

オヤジにだってあった青春、そして初恋/『はつ恋』イワン・ツルゲーネフ

ロシア文学 イワン・ツルゲーネフ Ивáн Тургèнев 『はつ恋』(1860) はつ恋 (新潮文庫)作者:ツルゲーネフ発売日: 1952/12/29メディア: 文庫 話すのが苦手だから書く ああ、青春よ!青春よ! オヤジだって… 好きな女の子が急に転校してしまって悲しみに暮れた…

終わりは始まり。

NHKのラジオ番組『すっぴん』が終わる。 今週(2020.3.9〜13)が最後の週ということで、現場で段取りをしつつ朝から聴き始めるが国会中継のため25分で終了…。ちぇっ、と思ったがまあしょうがない。月曜担当サンキュータツオ氏呆気ない最後でしたが、お疲れ様で…

包み隠された何か/『ヌメロ・ゼロ』ウンベルト・エーコ

イタリア文学 ウンベルト・エーコ Umberto Eco 『ヌメロ・ゼロ』(2015) ヌメロ・ゼロ (河出文庫 エ 3-1)作者:ウンベルト・エーコ発売日: 2018/11/06メディア: 文庫 エーコの遺作。 エーコの陰謀 自分は自分で 海外文学で学ぶ エーコの陰謀 人間の記憶という…

その記憶、本当か?/『終わりの感覚』ジュリアン・バーンズ

イギリス文学 ジュリアン・バーンズ Julian Barnes 『終わりの感覚』(2011) 終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)作者:ジュリアン バーンズ発売日: 2012/12/01メディア: ペーパーバック 単なる人生についての物語 なにもわかっていない情けなさ ジュリアン…

オススメ海外文学(作家編)①『ポールオースター』どちらかというと未読さんへオススメしたい3作品

↑ (作:ささやかな胡桃パンの人) 私がこの本を書いたのは、ヘクターの作品に対する自分の熱狂を他人と分かちあいたかったからだ。 『幻影の書』(新潮文庫)より これはポールオースターの『幻影の書』という作品の中のある一節だけども、つまり何が言いたいか…

幻影に人は救われる/『幻影の書』ポール・オースター

アメリカ文学 ポール・オースター Paul Auster 『幻影の書』(2002) 幻影の書 (新潮文庫)作者:ポール オースター発売日: 2011/09/28メディア: ペーパーバック 結局戻ってくるのはやはりここ。現代アメリカ文学界の最重要人物ポールオースターである。 幻影と…

iPhoneとiPadを使ってブログを書く人が増えてほしいと心から願う

こないだからどうも「読む」より「書く」に心が傾斜気味なのでまた番外編。iPhoneでブログを「書くこと」。 iPhoneやiPadでブログを、というか何かしらの執筆活動を行なっている人というのは、「PCで書く人」に比べて少ないのだろうか。確かに何かみんなPCで…

『書評ブログ』は気負わずまあとにかく気楽に始めようよ

小説を読んでばかりではいけない。世間ではインプットよりアウトプットを増やせと喧しいので番外編。 「書評ブログ」について。 スタイルの向き不向き 書評とそうでないもの 書評はかんたんでいい 『書評ブログ』やろうよ スタイルの向き不向き 書評ブログと…

凡人は狂人へ憧れる『嵐が丘』エミリー・ブロンテ

イギリス文学 エミリー・ブロンテ Emily Jane Brontë 『嵐が丘』(1847) 嵐が丘 (新潮文庫)作者:エミリー・ブロンテ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/06/28メディア: ペーパーバック 理屈じゃない何か 恋を知らないエミリー 語り手は最重要 何だかんだで…

『オイディプス王』ソポクレス

ギリシャ文学 ソポクレス Sophokles 『オイディプス王』(前429/420) オイディプス王・アンティゴネ (新潮文庫)作者:ソポクレス発売日: 1984/09/27メディア: 文庫 絶望的運命 心のままに生きる オイディプスの神託 そのご褒美 アイスキュロス、エウリピデスと…

『ハムレット』ウィリアム・シェイクスピア

イギリス文学 ウィリアム・シェイクスピア William Shakespeare 『ハムレット』 ハムレット (新潮文庫)作者:ウィリアム シェイクスピア出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1967/09/27メディア: 文庫 台詞ありき メタ創造あるいはメタ妄想的ハムレット というこ…

『マクベス』ウィリアム・シェイクスピア

イギリス文学 ウィリアム・シェイクスピア William Shakespeare 『マクベス』(1601?) マクベス(新潮文庫)作者:ウィリアム・シェイクスピア出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/01/29メディア: Kindle版 シェイクスピア四大悲劇のひとつ(『ハムレット』『…

ノルウェーブッククラブ『世界最高の小説BEST100』チェックリスト

海外文学を何か読んでみようかという時に、これはひとつの指標になるかもしれない。世界54ヶ国の著名な作家100人の投票により選ばれた、ノルウェー・ブック・クラブ『世界最高の小説BEST100』(2002) 主に自分の記録用だが、もし誰かの何かの参考になったらこ…